彫金には様々な技術が 天高くあり(本当に学べば学ぶほどそう感じます)、この講座ではなにが出来るのか ご紹介いたします。
まず、彫金には大きく二つの技法があります。金属から直接形を削ったり、パーツをバーナーで熱しロウという金属の接着剤みたいなもので繋ぎ合わせて作る古代からの技法がひとつ。もう一つが ワックスというロウを使い原型を作り、石膏型に入れ焼き上げて 溶けたロウのカタチの空間に溶かした金属を入れて鋳造するロストワックスという技法。
多くのジュエリーがロストワックス技法を用いていますが、それぞれに長所があるので、ジュエリー作家は自分の作品に合う方法を選んでいます。
BOCCAでは両方の技法を使って制作していますが、今回の講座ではロストワックス技法を使用します。
ロストワックスは何度もやり直しがきき、納得ゆくまで原型を作りこむことが可能です。愛着のあるジュエリーを作る上でとても大切なことだと思っています。
ワックスを削り原型を制作 |
K18のプレートを切り出しているところ |
ロストワックス技法にも沢山の種類があります。硬いブロックのハードワックス、柔らかいシート状のソフトワックス、粘土のようなクレイワックス、液体のインジェクションワックスなど。
体験講座では ハードワックスをアルコールランプで溶かしながら形を作るメルトワックスという技法で制作します。
この技法は金属の耳かきのようなヘラでワックスをすくい、ジワッと溶けたところをトレーシングペーパーに落としながら原型を作ります。溶かすタイミングで細かい模様や小粒の玉が作れます。一番の魅力は筆跡のような形が作れること。
ワックスを操る練習をした後、シンプルなリングを作ってみましょう。
細い重ね着けできるリングを2、3本 テクスチャーを変えたり自在にデザインしてください。実際に鋳造が可能な薄さ、大きさになるように指導いたします。
原型作りが1回目、それを鋳造して2回目には研磨に入ります。
鋳造から上がってきた状態は 湯道という金属を流し込むパイプのようなものが残っています。それらをヤスリで削り、サンドペーパー、シリコンリューターポイント、研磨剤で磨いてゆきます。
この作業ではネイルアートをしている人はネイルを傷めてしまうかもしれません。
その点をご了承ください。
リングは好きなサイズで作れます。第一関節に着けるファランジリングや親指のリングにトライしてみてもいいですね。
繊細なリングで色んなデザインを |
体験Lessonで受けた技法を使い ペンダントトップ、ボリュームのあるリング、ピアスなどを作る講座です。こちらではシルバーの他、ゴールド、真鍮などの鋳造も可能です。(金種により鋳造納期が変わるため2回目のlessonはひと月後になる場合もあります。)
ピアスパーツの原型 |
ペンダントパーツの原型と完成品 |
ボリュームのある透かし模様のモノグラムリング |
上記の2コースを受講頂き、waxや道具に慣れて頂いた方に受けて頂くコースです。
Freedomという名前のとうり、自分がイメージするジュエリーを作るために技法を選び納得ゆくまで原型を作る講座です。
ハードワックスを初めて触られる方は、シンプルな甲丸リングを最初に作って頂き、工具や立体的に作成する感覚を掴んでいただきます。工具はこちらでも若干ご用意できますが、数に限りがあるのと、時間がかかる作業になるので、ご自宅でも制作されたい方は基本的な工具のご購入をお勧めいたします。(10,000円程度)
その他、BOCCAの特徴としては以下の事が可能です。
・鞄、服飾雑貨、ビーズ工芸などををご自身でされている方に向けて、オリジナル
パーツを作るお手伝いをさせていただきます。
例えば、ボタンやチャーム、マンテル、金属タグなどの原型制作、量産鋳造の
方法、発注の仕方などの指導。
・天然石・パールによる鎖づくり。雨の滴のようなチェーン「Pioggia」を作り、彫金の
パーツと合わせます。BOCCAには沢山の美しい天然石のビーズ在庫があります
ので、選び抜いた配列で美しい鎖を作っていただけます。
Pioggiaの鎖 |
:材料費について
BOCCA Jewely making lesson では各自のサイズ、感覚に合わせたボリュームで
制作して頂きたいため、全て講習費とは別に実費(地金+鋳造費+送料・手数
料)を頂戴いたします。重さの概算でお値段は鋳造前にお伝えいたしますが金銀
とも時価になるため、多少の誤差が生じることをご理解とご了承くださいますよう
お願い申し上げます。
Pioggiaの材料費は銀線・k14GF線は各自でご購入していただき、真珠・石に関
してはチェーンの長さに合わせてお値段設定をいたします。お好きなものを選び
使って頂けたらと思います。一部、特殊石(宝石質のルビーやカットの珍しい石な
ど)は一粒売りになります。
:最後に
私が装身具を作り、それをお店に置いていただいて13年になります。
そのうちの数年はPioggiaの技法による天然石を使った品でした。
石や真珠を見て思いをめぐらせ形にするのは 自然のフォルムや色と対話を
する楽しい作業でしたが、もっと複雑な部分から生まれる自らの感覚を形にしたく
なり、全てを自分で作り上げる彫金へと進みました。
自分の内なる声を聴き 形にする・・それは素晴らしく豊かな時間。
日常から少し離れたアトリエ箱庭の部屋で過ごすひととき、ジュエリー制作を通し
お手伝いできれば幸いです。
♦ 生駒 美佳 (BOCCA ジュエリークリエーター)
京都精華大学芸術学部洋画科卒
日本宝飾クラフト学院 ロストワックス専科 ジュエリー専科 両修了