2015年1月6日火曜日

名画座の日々

出来すぎた話というのは苦手である。
年末に5回シリーズで放映していたドラマも期待して見ていたが途中で止めたのは
架空のできごととしても 余りにも目に余る「都合のよさ」に「無理だわ~~」とついていけなくなったから。たまたま入った喫茶店で、都合よく後ろの席の人が主人公の知りたかった秘密を喋っているのを聞いたり、たまたま出向いた先で怪しい二人が会合しているのにピンポイントで出会ったり・・それは脚本の甘さなのか、上手なウソがつけない演出なのか。

構成上の拙さ以外にも 「泣くよ、これは」「感動するよ、絶対」というのも
天性の天邪鬼な性格から素直になれない部分があった。
それが、だんだん歳を重ねるにつれ 許せるようになったのは
現実の厳しさやものの憐れを少しは体感したため、素直に感動することの貴重さを知った為かもしれない。
涙もろくなったよ。
ドキュメンタリーでも泣く泣く・・・

今年初めて読んだ本は 原田マハ著「キネマの神様」
映画を巡る 家族と仲間の話。SNSで知り合った友情をも含めて今日的な人間関係も描かれていた。
「ニューシネマ・パラダイス」という映画が鍵になっている。
この映画は私が説明するまでもなく映画ファンのための映画といわれる名画なのだけれども、私にはちょっと出来すぎた感があって 一歩ひいて観ている部分があった。
同じ映画ファンのための映画というなら「カイロの紫のバラ」の方が素直に観れた。
しかし、この話を読んでいて、私は「ニューシネマ・パラダイス」をDVDで観たことに気が付いた。きっと映画館で観るべき映画なのだろうな。
この話は、映画館という場所の特異性と魅力を存分に語っている。
DVDで観た映画は多分「知っているつもり」だけかもしれない・・と思わせる説得力があった。絵画を図録で見て知っているつもりになっているのと一緒で。
この本は自宅で読了して良かった。
電車で読んでいたら 不信者レベルの泣き顔を世間にさらすところだった・・・

この本に登場するような名画座というのは、現在はどのくらいあるのだろう。
高校生の頃から通った関西の名画座はことごとく姿を消した。
二本立て、三本立てを観る贅沢な時間。
「鬼火 / 去年マリエンバードで」「ハリーの災難 / 北北西に進路をとれ!」
「恋人たち /  恋のエチュード」「シェルブールの雨傘 / ロシェフォールの恋人たち」
「第三の男 / フォロー・ミー」「道 / 甘い生活 /オーケストラ・リハーサル」・・・・
ガラスケースの中にパンフレットと一緒に菓子パンとジュースとスナック菓子が並び
現実の中でも少しだけうらぶれた感じのある名画座のロビーの匂いが懐かしい。

昔のように二本立てを上映する名画座は見当たらないけれども、
同じ監督の古い映画をシリーズで上映したり、一本だけ上映する所は
まだ残っている。
でも、どうだろう。
これから がっつり4時間、6時間映画三昧できるという背徳感と贅沢感が合わさった感情は名画座ならではのものだったと思う。
昼の眩しい太陽のもと映画館に入り フランス映画3本立てを見て、星空をパリジェンヌの気分で帰る、あの夢見心地は。
今の私には一本でも充分かも知れないけれども、映画館で映画を観よう、と思った一冊だった。
知っているつもりの映画も含めて。








2015年1月2日金曜日

2015年 新春のお慶びを申し上げます。

明けましておめでとうございます。
皆様にとって良い一年であることをお祈り申し上げるとともに
2015年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

BOCCAの願いは美しいものを作ること。
私を取り巻く狭い世界から広い世界まで、憂うことなく過ごすのは
困難ではありますが、私はコツコツと美しい扉をノックして
丹念に制作を続けます。

今年は日本の訪れたことのない土地に足を運ぼうかと思います。
長野、山口・・湧水と木立を求めて。

本を読むこと、運動をすること、音楽を聴くこと、
五感と想像力を日々リフレッシュしながら
充実した一年を送れますように。