2015年10月14日水曜日

鎖を楽しむ。

数年前、宝飾の国際展示会にて、ナポリの小さな工房が出店していて、その精巧なチェーンに思わず足を止めました。

繊細なモチーフがつながる、今まで目にしたことのない、楽しく美しい鎖。
柱、紋章、小さな花などが 艶消しの濃い金で繋がるそれはそれは気の遠くなるような手仕事のジュエリー。
素材は柔らかく色味暖かな20金。
ブレスレットの他、ロング・ショートネックレスがあり、鎖そのもの、あるいは先祖から受け継がれたチャームやお祝いに贈られたチャームなどを鎖に通して、その人ならではの一品になるジュエリー。人生を表す、家族の親密さを感じる南イタリアのジュエリー。

私が今まで手に入れずに深く後悔している三大ジュエリーの一つになってしまいました。

また、親子でジュエリー作家であられる方の展示会を訪れた時に拝見した フィレンツェ鎖のネックレス。
こちらはシルバー製で 一つの輪の中に何個もの輪が組み合わされた複雑で男性的な鎖。15世紀のメディチ家の肖像画にも出てくるフィレンツェの伝統的な鎖は、
今では継承する工房も少なく、稀少な品でした。
 こちらも手に入れることが叶わず、幻の一品に。

鎖という、わき役にも主役にもなるジュエリー。
モチーフ一つ一つが繋がり、優しい音を奏でながら身体に沿う金属は
いつの間にか身体の一部になっていく・・・
私は思えば30年くらい鎖のブレスレットを身に着けています。
その年代や気分によって 銀や金、チャームが沢山ついているものなど
引出しからズラリと出してみると 懐かしく、改めて鎖の存在感にハッとしたり。
細い雨だれのような華奢なブレスレットは手首を美しく見せて、女性のくびれを強調する強烈なアイテムであることは勿論ですが、一方、使い込まれたメタルや、様々なチャームを重ねた迫力のある重ね着けも女性ならではの迫力に充ちています。
往年のヌーベルバーグの映画女優ジャンヌ・モローやファニー・アルダンのようにシンプルなニットに沢山のブレスレットを重ねて着けてバーカウンターでグラスを持つ・・という光景はなんてかっこいいのでしょうか。


ずっと鎖を作るのには憧れを持っていましたが、いざ作るとなると大変な根気が要求されるので「いつか」と思っていました。
しかしとうとう「鎖が作りたい!」という情熱が高まって、チェーンブレスレットを4種類作り上げることができました。
鎖をマンテルで留めるとき、外してシャララとトレイに乗せるとき、動きを伴うたびに心が躍ります。
パーティーの時は三本重ねて着けたり、革ブレスとも高相性です。
金種の刻印がされているプレートにはK18YGでブランドマークを押しました。
一般的なサイズ展開ですが、大きさ変更もできますので、神戸市のaliさんにてぜひお手に取ってご覧いただけたら・・と思います。