2016年12月21日水曜日

ムーン・リバー

12月21日・・・もうすぐクリスマスのこの時期、いつも心に流れる曲は 「ムーン・リバー」

先日、彫金教室で「クリスマスが近づくと切ないよね」という話をしていて「???」のリアクションをとられてしまったのだけど、皆さんはどうなのかしら。私はみんな切ないもんだと思っていたけど、違うのかなぁ。

「いやぁ、この年になるとあれやこれやとクリスマスにまつわる思い出が色々あってね・・」と言ったけど、今の風潮としては家族や友達でケーキと鍋をつつくささやかなイベントとしてのクリスマスで
あんまり思い入れがないみたい。

クリスマスは恋人と過ごす日、なんていう強迫観念がなくなって良かった・・と思う一方、やはりクリスマスキャロルと一緒に思い出す記憶のあれこれは貴重だったな、とも思う。

「ムーン・リバー」は私が19才の大学一年の冬、Tiffany&C.oでアルバイトをしていた時、一日中流れていたいた曲。クリスマスの季節、オープンハートとビーンズのペンダントはコマドリの卵色の箱と真っ白なリボンに括られて、どんどん恋人たちの元に巣立っていった。
私は半年にわたる恋の駆け引きに疲れ、恋愛から離脱して二か月あまり、10代最後のクリスマスも一人で過ごそうとしていた。
新しい恋の予感はあったものの、劇的な進展もなく毎日アルバイトで恋人たちのお手伝いをしていたのだ。

「ムーン・リバー」は映画「ティファニーで朝食を」の曲で、オードリー・ヘプバーンがシックなドレス姿で早朝のティファニー本店のウインドウを眺めながらパンを齧るオープニングが有名だ。
トルーマン・カポーティーの原作と映画ではエンディングが180度違うけど、私は両方好き。
美しいオードリー、シックなNY、真実の愛に目覚めるストーリー・・・憧れ一杯の映画。

ある日、いつものようにショーケースの上でジュエリーを包んでいたら、目の前に気になっていた彼が現れた。
京都に住む彼は大阪でアルバイトをしていた筈なのに、夕方にわざわざ途中下車して会いに来てくれたのだった。本当につまらない事を覚えているのだけど、甘茶色のざっくりとした草木染のセーターにマフラーを巻いただけの軽装で12月の街を歩く彼は、自分の気に入った品が見つかるまで絶対に妥協をしない人だったからお眼鏡にかなうコートが現れるまで寒さに耐える・・というそんな人だったのだ。鞄はアタッシュケースのようなアルミ製、そんな姿をこの曲と一緒にずっと思い出すなんて、つくづくBGMは罪なものだと思う。
男性から積極的なアプローチを受けたことがなかった私はかなり動転した。
でも、これから何かが始まる・・・という未来が明るく開ける予感が、クリスマス前の冬の匂いと彼のセーターの色味とムーン・リバーが三位一体となって記憶に刻み込まれた。

それから、出会いや別れがあり、クリスマスをすごした人との記憶はそれぞれあるけれど、やはりムーン・リバーを背負った彼の記憶は鮮明だ。

クリスマスが似合う空間にいた人と過ごしたイブも思い出深い。クリスマスプレゼントに図書館の香りがするキャンドルを用意して、アーケードを大きなカットケーキを下げて歩いた時も、この曲が流れていた。「あ、ムーン・リバー」と思わず呟いたことを覚えている。

クリスマスが切ないのは、もう二度と会うことのない人との暖かい記憶が蘇るから。
確かに生きた・・そんな実感。そしてその人たちは今、どこでどんなクリスマスをすごしているのだろうかと、遠く思いを馳せるからかもしれない。

このアルバムのムーン・リバーはオードリーの声にも似て好き。
the innocence mission/now the day is over



2016年12月11日日曜日

一緒にさよなら。

誰にでも忘れられない店があると思う。
その店に足を踏み入れた時、新鮮なときめきや未知の扉を開けた時のドキドキ感と同時に、自分にしっくりくる靴を見つけた時のような安堵感を覚えたら、そのお店は特別な存在になる。
それは、気になる異性と出会い恋に落ちるときとも似ている。

大阪の御堂筋にそびえる、かつては石作りの重厚な小学校跡地にできたそのビルに
私の好きが詰まったセレクトショップがある。
内装は目黒のアンティーク家具を扱う店が施工しており、什器、建具も全てヨーロッパの本物。天井も高くたっぷりした贅沢な空間に、洋服、靴、鞄、帽子、アクセサリー、キャンドル、石鹸、紅茶、アンティーク小物、インテリア小物などが、美しく、スッキリと配置されている。
窓からは御堂筋の銀杏並木が見え、古さと新しさが共存して溶け合う、居心地の良い店。

私が初めてその店を訪れたのは8年前。
フィレンツェの匂いがある内装に惹かれて、ドキドキしながら足を踏み入れた。

その店に出会う前、私は、好きな服を求めて色んなお店をクルクル回っていた。
「使える」か「使えない」か。それが一番の基準だった。
ジュエリーに映える服、それが第一条件。
もっと言えば、長い主婦生活と別れを告げて神戸の街に関わり出した時に、
「恥ずかしくない服」を求めた。
でも、どちらかと言えば定番的でこなれた印象の少ない恰好だったと思う。
本物のファッションフリークが身近にいて、一見、何でもないトレーナーにも
素材やカットに秘密があり、それをさり気なく着こなすことがカッコいいということを
知ってからも、なかなか自分に落とし込めるファッションを扱う店に出会えずにいた。

初めてそのお店で購入したのは黒い雨傘。
キリリと細身、持ち手も細い木製、真鍮の小さな環で止めるアンブレラ。
服を買うには敷居が高くて、ためらっていたけれども、傘ならば手にすることができた。
完璧な美しさの傘。

一度、購入すると度胸がついて、凝った布やボタンやポケットの仕様に19世紀の香りがする服や、変わったカットだけれども着てみると「なるほど!」と思う服などをどんどん試していった。
そのお店のスタッフさんは、皆さん素晴らしく、私が望むものや似合う物を提案して下さるのだ。
私は夜に訪れることが多かったけれど、広い店内をあれこれ試着させてもらいながら過ごしていると2時間くらいすぐたってしまう。
試着しながら、新しい自分の可能性や、ファッションから学ぶことが多く、お客さんでありながら、学生のようでもあった。

「好きな世界があること」「本当に心から好きな服を選ぶ贅沢」をその店で知って以来、
私のワードローブはだんだんと統一感が出てきて、お洒落がその人を一歩前に進める力があることを知った。
私が愛用しているエッジの効いたパンツ専門ブランド"TUKI"さんのアイテムを最初に勧めてくれたのはそのお店のスタッフUさん。
今まで着たことのないTUKIパンツは、オンナ度の低い「意思なくしては着こなせない」シルエット。
それを「Iさんはこれが似合うと思うんですよね」と言われて恐る恐る着て以来、何本も持っていて、そのパンツは私の一番の味方になった。

だんだん、私の体型が変化して似合う服が変わっても、そのお店で買った服はずっと生きている。
私の核心をついた「好き」を選んでいるからだと思う。
どの服も、買った時のことを思い出せる。
初めての個展を成功させるために選んだクラッシックなフィレンツェの織物のようなブラウス。
絶妙な薄さのガウンコート。
母の入院で病院通いが続き、疲れた時に選んだシルクに深紅の刺繍がしてあるスカーフに元気づけられた。
鮮やかなビリジャンのループが一杯ついたカシミアのスヌードは、ベージュにするか迷ったけれども、ビリジャンという攻めの選択に背中を押していただいた。

ひとつ一つに、こんなに思い出がある服選びをさせて頂いたこのお店が、一月の末に幕を閉じる。
この寂しさは、それこそ恋人と別れるときの切なさと同じだ。
恋人は、どこかで生きていてくれるだろうけれども、二人で作る時間は二度とない。
このお店で過ごしたようなファッションを楽しむ幸せな時間はもう二度と味わえないように思う。
そして、何もかもが新鮮で生まれ変わったように走り続けた第二の青春とも言うべき自分のひとつの時代も、幕を下ろすのだ。



2016年11月28日月曜日

ラヴェンダーの咲く庭で

          
齢をとると、諦めなきゃいけないことが増えてくると感じる。
ハイヒールを一日中履くこと、歯間ブラシを使わないと食事の後スッキリしないこと、徹夜はおろか睡眠不足なだけで次の日はアウト、黒い帽子も顔に影が射すから被らなくなったし、コンシーラーを使ってもシミは消えず、厚化粧になるかシミを隠すのを諦めるかというバランスを求められる。
先日、高校・大学時代の友人が集まったが、いきなり老眼鏡の品定めだ。
老化・・・人間という動物である以上、誰もが通る道とは知っていても、微妙に抗う50代だ。

映画「ラヴェンダーの咲く庭で」は切ない気持ちと同時に瑞々しく良い意味でも悪い意味でも変わらない人間の心模様を描いた良い作品だった。

ある海辺の田舎に住まう老姉妹が、海岸に打ち上げられた言葉が通じ合わない外国の若者を助けることから起こる急激な心の動き。
若者はポーランド人の音楽家で言葉は通じないが、老婦人たちと心を通わせていく。
妹の老婦人は一目見たときから恋心を若者に抱く。おそらく60代の彼女にとって初めての恋。
姉の方は、兵士だった夫がいたが若くして未亡人になった。しかし短い間とはいえ、愛する男性と生きた過去がある。そのことに、妹はこだわり続け、自分が手に入れられなかったキラキラしたもの、として心に封印をして暮らしていたが、その若者を見て、恋心が一気に芽吹くのだ。

原題は"Ladies in Lavender"   ラヴェンダーを纏った婦人たち・・・ラヴェンダーはクローゼットに入れる防虫剤の役目もあり、要するに樟脳の香りがするようなお堅い女性という事なのだと思う。
でも、人生に突然現れた美しい若者。
若者には想像もできないと思うけども、恋心に年齢は関係ないのだ。
そして、いくら「年を経た美しさ」とか言っても、それは人間としての総合力としての美しさであって
本能を突き動かす恋の対象は、圧倒的に若さが関係する。
艶やかな肌、コシのある髪、贅肉のない肢体、美しい首筋、力強い眼差し・・・・
それはいつまでも、黙って愛で続けることのできる崇高なオブジェだ。

名作「ベニスに死す」も美の化身のような少年に初老の男性が心奪われてゆくさまが、美しく哀しく描かれているが、この作品にも似通ったテーマがある。

結局、諦めなければいけないのだ。
恋心を隠し、「守る」とか「助ける」とか「応援する」という形でしか昇華できない。
恋を恋として全うする土俵にすら上がれなくなっていくのだ。
劇中「人生は不公平よ」と妹が呟き、ただ肯定する他ない姉がいる。
恋が、もっと早くに訪れていたなら、またはもっと自分が若かったならば。
人に恋するのは理屈ではない。そして年齢は関係ない。
でも、立場が違う。年齢の違うもの同士は違うプラットフォームに立って違う電車を待っている。
遠くから警笛を鳴らしあって、共鳴しあうことはあっても人生という同じ電車には乗れないのだ。
それでも、突然に恋は訪れる。

ところで、この映画を観たのは、フィギュアスケートでよく使われている楽曲がテーマ曲だから。
「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲」
浅田真央さん、町田樹さん、そして今季は宇野昌磨さんがSPで演技している。
思えば、フィギュアスケートファンというのも決して手の届かない選手を国内外問わず応援に行ったりしてエネルギーは半端ではないものを感じる。
宇野昌磨さんのスケートは、人の心を揺らす魔力があってこの映画に出てくる若者のヴァイオリンのようでもある。
この曲を選んだ樋口コーチが映画を観て、そこまで深読みしたかはわからないけれども、美しい宇野選手と相まって、選手とファンの関係と同様のテーマだと思うのは勘ぐりすぎるのだろうか。

2016年11月14日月曜日

「6才のボクが大人になるまで」

だんだん肌寒くなってきた11月の午後、愛猫と一緒に2時間45分のDVDを観た。
映画館に行ったら満席で観れなかった映画「6才のボクが大人になるまで」
同じ俳優に12年間演じさせる半ばドキュメンタリーのような映画。とりわけ何が起きる訳ではないけれどある家族を軸に起こる物語を12年間追った、平凡で非凡な作品。

少年・少女が成長して18才=大人(アメリカではそうなんでしょうね。)になるまで、主に周りの大人、特に母親に翻弄されながら子供は育っていくしかない。
時に声を荒げたり、言葉少なく壁を作りながら。
イーサン ホーク演じる父親が良い味を出していて、離婚して子供から離れても常に見守り、言葉を与え、道筋を照らす存在であるのに救われる。
ミュージシャンという夢を追い求めていた父親は、新しい家族と共に生き、そのためにサラリーマンとなるのだが、そこに卑屈さや開き直りはなく、写真家を夢見る息子に対して、冷静でフラットな助言をする。
自己実現を果たし、価値ある仕事に就き、シングルマザーで二人の子供を育てた母親は、女性としての魅力や可能性もフルに発揮して新しい環境に子供を連れて行ったり逃げ出したりするのだが、私には同じ母親として逞しく、まぶしく、かわいらしく、悲しく映る。

終盤、母の涙に私は我が身を重ねて思わず落涙してしまったのだが、その後のテキサスの雲一つない広大な一本道を音楽を聴きながらほんの少しの荷物と共にピックアップトラックで町を出ていく息子の、軽やかな未来に胸が詰まる思いがした。そう、若者は振り返らず、親を置いて出ていく、その繰り返しをしなくてはならないのだ。たとえ母親の涙を見ても、振り返ってはいけない。

大学の寮に到着した夕方、知り合った友人たちと昔父親とキャンプした河に行く。
絶対的な自由、確信的な自分に対する自信、これから開ける未来に曇りはないと思える夕暮れ。
知り合いになった女子学生が言う。「チャンスをつかめ、ってよく人は言うけれど、私は違うと思う。チャンスが私たちを捕まえるのよ」

これは色んな解釈ができるのだと思うのだけれど、自尊心の確立や自己の核心を掴んだ人には向こうから好機はやってくるという巡りあわせを言っているのではないかと思う。
自分のスタイルが確立したらカチリと音を立てるようにチャンスはやってくる、自分が慌てて捕まえにいかなくても良いのだという、ある意味成熟した教訓のような言葉で締めくくられる。

先日、湖に架かる大きな虹を見た。
雨が降っているのに陽が差したら私は必ず虹を探す。
誰も、その豊かな虹を気にも留めない。
ある条件が揃えば虹が見れる、その心積もりが私に沢山の虹を見せてきた。
ふと顔をあげて、そこに虹があったら美しいと感じる人は多いだろう。
なぜ虹を見たいのか、それには理屈はないけれど
私はいつも虹を見る準備をしているから 虹が私を見つけるのかもしれない。




2016年10月21日金曜日

手ざわりコレクション

北浜で開講している彫金教室で、「子供の時、どんな遊びをしてた?」という話になった。
お絵かきは?ドレスを描くのが好きだった、お姫様より動物だったかなぁ。リスやウサギ、、合体ロボをパースも正確に描いてた男の子いなかった?今、なにしてるんだろ?建築家とか?スポーツカーを描いている子もいたよね・・・など。私自身はヒヤシンスを描くのが好きだった。細かい星型の花を一つ一つ描いて。あと、迷路。どこまでも続く道をうねうね描く快感・・・
粘土は?
やっぱり動物。あと人形・・・
粘土細工と聞くとある風景に行き当たる。実は鮮明に覚えている自分の幼稚園時代は粘土細工に関係する。

千葉県・市川市から東京都・杉並区に越してきた私は卒園まであと半年という微妙な時期に転園をした。当然、幼馴染みもいない。
当時流行っていた仮面ライダーごっこの仲間に入れて貰ってもショッカーの役ばかりだし、だんだんと自分の世界に引きこもり粘土遊びに夢中になっていった。
最初から具体的なものを象る気がなかった。
私はその幼稚園で渡された、薄いベージュでホワッと軽い粘土の質感に夢中になったのである。

毎朝、薄いブルーのプラスチックの粘土箱から固まった粘土を取り出す。
体温が伝わりだんだんと柔らかくなる粘土に爪を立てて、じっくりと捏ねてゆく。
最初は指先で捏ねていても、柔らかくなっていくにしたがって掌全体で立ち上がって体重をかけて力を入れた。
そこで、パスタの湯で具合をチェックするように、細く一本の紐状の粘土を作る。
それをゆっくりと割って、切断部分に薄く糸が引くか、または二つの切断部分を突き合わせてて粘土が糸のようにホワホワとするかを確かめた。そして充分と判断したら、本番である。

長さにして30cm、太さ直径3.5cmくらいの棒を作る。
それを少し掌でおして平たくしたら、薄い粘土ベラで慎重に割いていく。
上手に二等分できたら、尖った竹串で骨を描いていく。
そう、私はウナギに見立てた粘土を毎朝さばいていたのだ。
TVか何かでみたのか、母が魚を出刃包丁で三枚におろすのを憧れをもってみていたのか。
とにかく、「魚をおろす」という行為が私にはとてつもなくカッコよく感じられたのだ。
それは、千葉の幼稚園で使っていた青緑で油分の多い粘土では得られない質感だった。
粘り気がありながらもエアリーである、そして何にでもイメージを投影できるベージュ。

「先生、それ、幼稚園の先生、心配しませんでしたか?」
生徒さんに言われるまでもなく、転園生であるだけでも気を使ってくださっていた先生は
とても心配だったであろう。

園庭でも、私はひたすら「触り心地の良い土」を探した。
まず、しゃがみ込み態勢を整えたら両手をコンパスのようにスライドさせて、小石がポロポロある
表層部の土を除く。
硬い土だけ、と思われる層まできたら本番である。極優しく、そっと掌で撫でると微量に細かい土
だけが吸い寄せられるように付着して、徐々に溜っていくのだ。
それを小さな台形の山にふっくらと積み上る。
そして、その軽やかで湿り気と乾燥具合が絶妙に合わさった美しい山にそっと指先をさしてみたり、掌で押さえでその感触に夢中になった。
ある日、ふと気配を感じて顔を上げるとそこに先生の顔があってビックリした。
「ミカちゃん、お友達いないの?」と聞かれ「ううん、一杯いるよ」と喘ぎながら答えたのを鮮明に覚えているのは、恥ずかしさからだったのか。

実際、友達はすぐに出来たけれども、でもそれとこれとは別物だった。
自分の中の五感を研ぎ澄ます歓びは、一緒に鬼ごっこをする楽しさとは全く別種のものだった。

今も私は、重さや手触りの良いものを収集する。
柔らかい石や、ザラッとした金属の塊、すべらかな小枝・・・
手が喜ぶそのような物を慈しむ気持ちは 年を重ねても変わらないのだ。

                  

                


                                         














2016年10月19日水曜日

心が動くとき

銀座での展覧会が終わり、神戸のaliさんへ。
じばらくお話をして、店内の美しい物たちを見ていると、
お店のTさんに「BOCCAさん、先月いらした時より落ち着きましたね~。ほっとしたんですねw」
と言われました。

展覧会のカウントダウンが入ると、どうしても過労と緊張が表に出てしまうのです。

でも、それ以上に今回「落ち着いて」見えたのは
新しい人に出会って、自分がなすべき仕事が見えた安堵感かもしれません。

ずっとアトリエに籠っていると、自分は誰のために、何をしているのだろう・・という焦りがでてきます。自分のために、または自分の創作欲求を満たすためだけに制作するのではなく、
展覧会をしたりお店に置いて頂いている以上、そこには社会的な意味合いが生まれます。

ジュエリーやアクセサリーを作っている人は星の数ほどいて、
小さな展覧会をしても、私のジュエリーを好む人に出会う確率は
ほんのわずか。

人に向けて作るのであれば、人に届きたい。
それが琵琶湖の近くの小さなアトリエから、どこに届くのだろうか・・・

でも立ち止まることなく、自分の「好き」を信じて動いたとき、
突然に扉があらわれる。
aliさんのある神戸の海岸通り、アトリエ箱庭さんのある北浜、そして今回開かれたのは
私が子供の頃にすごした、大好きな街、東京の中央線エリア 西荻窪。

これから準備に入りますので、追ってインフォメーションしますが
西荻の暖かな陽射しが心を和らげて、また創作への力となって走り出せる、そんな出会いでした。

ヘリコプターのように真上に飛び立てる人もいれば、長い滑走路が必要な人もいる。
私は滑走路のタイプ、しかも気に入った空港からしか飛び立てない我儘な人間。
だからこそ、心が動いた時は、敏感にサァッと風に乗りたいのです。

                                     
                                                    木製プロベラ /  ali


2016年10月14日金曜日

La Mostora di "BOCCA" 終了の御礼

2016年10月6日~11日まで 銀座ギャラリーG2で開催しておりました展覧会が無事に終了いたしました。
会期中、ご多忙の中、お越しくださった皆様に厚く御礼申し上げます。
また、初めての関東開催にあたり、お店やSNSでの告知にてご協力頂いた方々に深く感謝いたします。地元の関西からもご支援やお祝いを頂戴いたしましたこと、重ねて御礼申し上げます。

お蔭様で、沢山のご縁に恵まれ、楽しく有意義な時間を過ごせました。
BOCCAのジュエリーはファッションの一部であると同時に、その枠を外れた意味を持ちたいという願いがあります。
人が洞窟に壁画を描いた時代から受け継がれる”創る”という行為を尊び、人が人らしく生きる歓びを感じられるジュエリーをこれからも制作していきたいと思います。

末筆になりましたが、展覧会にあたり親身にご協力くださった銀座Gallery G2の狩野様、また
G2を通じて懇意にしてくださった作家の方々に御礼申し上げます。有難うございました。







2016年9月30日金曜日

”La Mostora di BOCCA ” 展覧会詳細

10月6日より始まる展覧会についてお知らせします。

販売に関しましては以下のように予定しております。
定番品でサンプル以外にバックストックのある品はストック分を販売します。
申し訳ありませんが、ストックがなくなり次第、受注という形になります。
展覧会終了後、順次制作いたしますので4週間ほどお時間をいただきたく存じます。

本展のために作られた一点ものの作品販売は、基本的には会期終了後の発送とさせていただきます。
送料はこちらが負担いたします。
もし、急ぎのご事情がございましたらご相談に応じますのでお申しつけください。

大きなバロック真珠のペンダント、小粒真珠や南洋真珠のピアスなどは、一点もののですがお持ち帰りいただけます。
どうぞ、お気に入りの品をお選びください。

11日の最終日はサンプル以外のお品はお持ち帰りいただけます。
16:00終了となりますので、15:00までの販売となります。(ギャラリー規定により)


BOCCAの展覧会は販売のみに力を入れている訳ではなく、
ジュエリーはもちろん、皆様と様々な興味を分かち合い、心豊かな時間を過ごすために開催いたします。
どうぞ、お気軽にお立ち寄り下さいますよう ご案内申し上げます。

                                                  Laboratorio di incisione BOCCA
                                                                                                                            Mika Ikoma

                                                                     


2016年9月27日火曜日

10月の彫金教室

10月の彫金教室は第一、第三土曜日の1日、15日に予定しております。
バングルを作る人、石を使ったロングネックレスを作る人、新しく入られた若いご夫妻は
甲丸リングを作りながら工具扱いの基礎を。
アトリエ箱庭さんで、集中した時間が流れます。
時々、真下の空き地に猫がやってきたりして
ホッと和むひと時、そして箱庭さんがご用意くださる三時休憩は
手も心も休めて、それぞれのトピックスを話す活気のあるお茶の時間・・・
ご見学も随時受付ておりますので、ご興味のある方は是非いらしてください。

2016年9月10日土曜日

La Mositora di BOCCA~2016

来る10月6日~11日まで開催する BOCCAの展覧会を告知しました。
すっと準備してきて、いつもこの日を頭に置いて過ごしてきても、今一つ実感が沸かないのですが、やはりオープンにすると現実味がググッと迫ります。

BOCCAという屋号になってから三回目の個展。
会場は銀座GalleryG2。ひときわ威風を放つ築84年の歴史ある奥野ビル1Fにあります。
古い建物好きの私、三年前にも訪れたのですが、その時はG2さんは銀座の違う場所にあり、
一階にはギャラリー空間は無かったと記憶しています。(間違ったていたら御免なさい)

関東大震災の教訓を生かし、耐震設計にした1932年当時、最新の高級マンション。
地階に大浴場、アコーディオン扉のエレベーター、広いエントランス、そして当時はそのあたりには
川が流れていたので、リバーサイドビューの特別な建物だったそうです。
古いながらも、そのバランスの良さや風格は今も魅力を放っています。設計は同潤会アパートを設計した川元良一氏。今は20を超えるギャラリーなどが入るオフィス・店舗ビルとして現役活躍中です。

関東で展覧会を開催したいと願っていたものの、色々と不案内なために思い切れなかった私が
夕暮れ迫る秋の日、G2さんの明かりに導かれるまま足を踏み入れ、そしてほぼ即決で開催を
決意しました。建物の魅力と共に、オーナーの狩野さんが温かな人柄で安心できたのも大きなポイントでもありました。
帰りの新幹線に乗る二時間前の出会いでした・・・

           


2016年7月29日金曜日

8月の彫金教室のお知らせ、他、香りについて、10月の個展準備の話。

BOCCA 彫金教室のお知らせです。
8月は通常どうり第一、第三土曜日の開講予定です。
(8月6日、20日、13時~18時)
見学はご自由にしていただけますので、ご興味のあるかたは是非お立ち寄りくださいませ。

アトリエ箱庭さんの入っている豊島ビルの三階に新たにアロマテラピーのお店
”LITTLE FOREST"さんがopenされました。
先日、階段を上ってゆくと 森と果実の香りがフワリと。
私は香りが大好き。
新鮮な香油を胸一杯に吸い込み 気持ちスッキリとLessonへ。

私が定番にしているコロンはサンタマリア・ノヴェッラの”ローズ”
薔薇の香りは薔薇の数だけあり、それぞれに魅力があるのですが
このメーカーの香りは強いオールドローズ。
甘いというよりスパイシーな野趣に富んだ香りです。

いつも個展の会場で使うアロマキャンドルはCIRE TRVDONの”ROI SOLEIL"
10月に個展が控えているのですが、またリピートするのか新たなイメージで行くのか
検討中。この香りを嗅ぐと私の中でスイッチが入る・・という側面もあるので継続予定ですが
運命的な出会いがあれば・・・とも思います。こちらは森の中にバニラや皮の本の香りが混じった
優しい中にもミステリアスなイメージです。

制作も佳境に入り、来月にはDMも上がる予定。
すでに指先の皮はカチカチになり、感覚が鈍くなっています。(金属を磨く際、摩擦熱で皮が厚くな
り、セルフ指サック状態に(-"-))
明日は少し休憩を入れて 京都市美術館で「ダリ展」をみて御所の湧水で足を浸して
リフレッシュしてきます!





2016年6月28日火曜日

BOCCA 彫金教室のおしらせ

怪我のため しばらくお休みさせていただきました アトリエ箱庭さんでの彫金教室を
再開いたしました。

7月は通常どうり第一、第三土曜日、13時から18時までです。

生徒さんも途中で期間が空き、作りたい気持ちを損ねてしまったのでは・・・と
申し訳なく思っておりましたが、先週の講座でも皆さんが集中して制作してくださる
姿に感謝と感動の気持ちが沸き上がりました。

私も世間と離れた生活を5週間して街にでると、色んな変化を感じました。
当たり前と思っていたことが新鮮だったり、または今まで気づかなかったことに違和感を覚えたり。
怪我の巧妙・・という言葉がありますが、視点が変わったり、自分自身を知る期間でもありました。

とは言うもの、もうこの様なことは御免だと強く思います!

さて、これから夏に向かいますが、私は秋に向けて本格始動を始めます。
計画はまた追って掲載いたします。よろしくどうそ。

                     



2016年5月7日土曜日

BOCCA 彫金教室 5月休講のお知らせ

大阪・北浜のアトリエ箱庭さんにて開講しております彫金教室を
講師の怪我により 5月は休講とさせていただきます。

箱庭さんはじめ、生徒さんにはご迷惑をおかけすることとなり、誠に申し訳なく思っております。

6月は様子を見ながらになりますが 第2、4週の土曜日を予定しております。
また、情報をtwitterこちらblogにて上げさせていただきます。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。






2016年1月5日火曜日

2016年1月 彫金教室のご案内

明けましておめでとうございます。
皆様におかれましても
充実した良き一年になりますように。

1月の彫金教室ですが、年始もありまして、イレギュラーな日程になります。
通常
 第一、第三土曜日ですが 今月は第二 第四でお願いしております。

1月9日 、
1月23日
時間は13時より18時まで。アトリエ箱庭さんにて。

随時見学もできますので、どうぞお気軽にお立ち寄りください。

本年も宜しくお願い申し上げます。