2016年11月14日月曜日

「6才のボクが大人になるまで」

だんだん肌寒くなってきた11月の午後、愛猫と一緒に2時間45分のDVDを観た。
映画館に行ったら満席で観れなかった映画「6才のボクが大人になるまで」
同じ俳優に12年間演じさせる半ばドキュメンタリーのような映画。とりわけ何が起きる訳ではないけれどある家族を軸に起こる物語を12年間追った、平凡で非凡な作品。

少年・少女が成長して18才=大人(アメリカではそうなんでしょうね。)になるまで、主に周りの大人、特に母親に翻弄されながら子供は育っていくしかない。
時に声を荒げたり、言葉少なく壁を作りながら。
イーサン ホーク演じる父親が良い味を出していて、離婚して子供から離れても常に見守り、言葉を与え、道筋を照らす存在であるのに救われる。
ミュージシャンという夢を追い求めていた父親は、新しい家族と共に生き、そのためにサラリーマンとなるのだが、そこに卑屈さや開き直りはなく、写真家を夢見る息子に対して、冷静でフラットな助言をする。
自己実現を果たし、価値ある仕事に就き、シングルマザーで二人の子供を育てた母親は、女性としての魅力や可能性もフルに発揮して新しい環境に子供を連れて行ったり逃げ出したりするのだが、私には同じ母親として逞しく、まぶしく、かわいらしく、悲しく映る。

終盤、母の涙に私は我が身を重ねて思わず落涙してしまったのだが、その後のテキサスの雲一つない広大な一本道を音楽を聴きながらほんの少しの荷物と共にピックアップトラックで町を出ていく息子の、軽やかな未来に胸が詰まる思いがした。そう、若者は振り返らず、親を置いて出ていく、その繰り返しをしなくてはならないのだ。たとえ母親の涙を見ても、振り返ってはいけない。

大学の寮に到着した夕方、知り合った友人たちと昔父親とキャンプした河に行く。
絶対的な自由、確信的な自分に対する自信、これから開ける未来に曇りはないと思える夕暮れ。
知り合いになった女子学生が言う。「チャンスをつかめ、ってよく人は言うけれど、私は違うと思う。チャンスが私たちを捕まえるのよ」

これは色んな解釈ができるのだと思うのだけれど、自尊心の確立や自己の核心を掴んだ人には向こうから好機はやってくるという巡りあわせを言っているのではないかと思う。
自分のスタイルが確立したらカチリと音を立てるようにチャンスはやってくる、自分が慌てて捕まえにいかなくても良いのだという、ある意味成熟した教訓のような言葉で締めくくられる。

先日、湖に架かる大きな虹を見た。
雨が降っているのに陽が差したら私は必ず虹を探す。
誰も、その豊かな虹を気にも留めない。
ある条件が揃えば虹が見れる、その心積もりが私に沢山の虹を見せてきた。
ふと顔をあげて、そこに虹があったら美しいと感じる人は多いだろう。
なぜ虹を見たいのか、それには理屈はないけれど
私はいつも虹を見る準備をしているから 虹が私を見つけるのかもしれない。




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