2013年3月4日月曜日

知らないを知る

 
 
 
  
享楽的な部分って個人的なものだけど、ストイックな人だろうがユルい人だろうが
その部分が人生の時間に費やす割合って 同じような配分なのでは?と思っている。気が乗らない仕事をしている時間と夢中になっている時間、そしてダラダラと自分をほぐしている時間・・・忙しさの中で 愉しみさえもルーティンワークになってしまっては ガスが充満してしまう。新しい風穴も必要。
 お酒は享楽的な楽しみの代表選手格。私も人並みにビールやワインを飲んできたけど、本当にアルコールを楽しむという事をまだ分かっていないという事に気が付いたのは友人たちと 大阪の堂島サンボアに行った時のこと。

老舗のBarサンボアは無音の空間。白いバースーツに身を包んだ男性たちが静かに そして機敏に立ち働く。カウンターはスタンドのみ 太い磨きこまれた真鍮の止まり木、劇場の舞台の様に光り輝くアルコールのボトルに向かってほの暗い座席が周りを取り囲む。
オーダーしたモスコミュールは 今まで私が知っている同じものとは思えない 深く濃い味わい。ほのかにライム色に光るグラスには 舌の上でころがすお酒と戯れる喜びが詰まっていた。「私はまだ何も知ってはいない」・・・もっと 素晴らしいこと、味わい深いこと、魔的なこと、そんなことが世界には溢れている筈だ。分かったつもりでウソぶいている場合ではないのだ。
 老舗と呼ばれる店には 自然と自分を照らし合わせる鏡が用意されている。

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