2012年12月24日月曜日

悪魔の一滴をさがして

                        
 
よく「華がある」という言い方があるけれども、この華につて色々考察できるいい機会なのがフィギュアスケートかも知れない。
決められた同じ時間を滑るのだから、その時間を長く感じるか一瞬の間と感じるのかで、自分がどのくらい魅力を感じているのかが分かってしまう。そして、そこには「華」の存在が必ず関係するのだ。
これは、フィギュア以外のあらゆる芸術やスポーツは勿論のこと、人間が関わる全てに当てはまることだと思う。
 
ピアニストの中村紘子さんがチャイコフスキーコンクールの審査員をしてた時に言われた言葉。
「そのピアニストに悪魔の一滴があるかどうか」
人を魅惑し、言いようのない陶酔の世界に導くものを指す素晴らしい表現だと記憶している。
どんなに上手くても陶酔できない芸術もあるし、魅力はあるのに技術不足で美の王国の入口で立ち止まってしまうものもある。
そのどちらもが兼ね備えられなければ、人を幻惑し、魅了することはできない。しかし人は必ず失敗もする。しかしそれすらも美しいと感じさせることが出来るのがすなわち、悪魔の一滴の仕業、華のある人の仕事である。
 
あらゆる物や表現の中に 悪魔の一滴を探そうとしている。それは、いつも宝物を追っている楽しさだ。自分の中に蓄積されていく悪魔たちの滴が、私らしい価値を育て、そして表現へと姿を変えてゆく。
                               

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