2013年1月10日木曜日

懐かしさというもの。



               
 
  
 
   去年みたDVDで強烈に印象に残っているのが 「赤いアモーレ」という映画だ。
  ペネロペ・クルスが演じる貧困階層の女性とエリート医師が偶然出会い、本能的に惹かれあい
  時を分かち合う。二人には共通するバックボーンも未来への展望もなく、ただ惹かれあいお互
  い離れがたくなっていく。男性の方は、二重生活になり、分裂していくのだが、運命に導かれる
  結末で、彼は救われる。
 
 
 
  
  自分とは違う世界の異性に強く惹かれるという話は、繰り返し映画や文芸の主題になっている
  のだが、それは多くの人が共感できるから、作品として残るのだろう。
  大人の恋愛には、現在の環境と積み上げられてた価値観があり、二人だけで完結もできなけ
  れば、未来を二人で作り上げるのも容易ではない。
 
 
  惹かれあうという気持ちは、不思議だと思う。
  沢山の言葉や知識を身につけ、趣味や嗜好、仕事や家庭、そんなものを積み上げてきた大人
  をあっさり裏切る、ただその人が愛しいと思う気持ち。
  それが、同性ならば「ソウルメイト」という言葉で表わされるのだろうか。
 
  魂の部分でつながる、あるいは、前世で縁があった・・そのような感情は、出会った瞬間、
  ある「懐かしさ」と共にやってくる。
  眼差し、声、そして匂い。
  いくら話しても話し足りない、いつまでもどこまでも一緒に居たいという強い気持ちに、良いも悪
  いもない。理性を超えた何かが、ただ心を動かすだけだ。
 
  恋も美的感動も、突き詰めれば「懐かしさ」なのではないか・・と感じている。
  では、その懐かしさは、何からやってくるのか、何に対して懐かしいと感じるのか、
  そこのところの神秘を 時々考えたいと思う。

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